Sorry,Japanese only
Last Update 20010916

初心忘れるべからず

 なんだかんだ言って,入社して2年目ともなると初心を忘れてくるものです.良くないことです.話はズレますが,入社して2年目くらいになると,冷静に自分のエンジニアとしてのタイプも認識できるようになるものです.
 高専上がりの私は,ずっと,実務家肌だと思っていました.しかし,実際に仕事をして気がつくのは,自分は,「机上の空論派ではない程度の理論重視派」だということです.仕事をしていて,先輩の意見に楯突く瞬間というのが,根拠もないのに「○○を試してみたら?」と言われたときです.この,○○というのが,有効だと言える根拠が明らかにあるときには,私は反対どころか大賛成で,自分の持てる力のすべてを注いでそれを実現してみせる自信があります.しかし,私がゴネるのは,ほとんど「思いつき」だとしか思えないのに「○○もやってみたら?」と言われたときです.きっと,ゴネている私を見て、先輩も「メンドくさがりだなぁ」と思っていることは予想できるのですが,どうしても,自分で納得できないことに時間を割くのは気が引けます(他にやらなきゃいけない仕事もあるんですから).

 先日も,うちのプロジェクトで開発しているボード(簡単に言えば,ディジタイザの測定周波数帯域を伸ばすためのフロントエンドユニット)のInitialize方法に関して,ちょっと意見の食い違いがありました.
 私は,このボードの担当者(設計変更関係の書類作成とか生産ロットの把握とかをする)でもあり,Diagnosis(診断:正常動作していることを確かめる)とInitialize(初期化)プログラムの担当でもあるので,Initializeプログラムは,確実に完成させる必要があります.ここで,このボードを評価している先輩から意見がありました.
 「Ch間で測定値に誤差がある」というのです.そこで,先輩はDC信号を使ってInitializeする方法を試そう(新規にプログラムを作ってくれ)というのです.現状では,AC(矩形波)信号でInitializeしているのですが,これで誤差が生じたからと言って,DCにしたら誤差がなくなるという根拠が私には理解できなかったのでした.
 なぜなら,AC波形が伝送線路通過時のロス等により悪化し,基本波レベルが減少したのがCh間誤差の原因であるとわかっているならともかく,そういったデータは存在しないのです.あえて言えば,Ch間において伝送線路の直流抵抗値に違いがあることは私自身,把握しています.しかし,AC信号の振幅レベルは,前もってDCレベルで測定して求めてあるのです.このことから,Ch間でのレベル誤差はAC信号の波形品質が悪化したことが原因でないかぎり,DCでInitializeしても同様に生じてしまう可能性があります.しかし,実務家肌(?)の先輩は「やってみよう」といいます.私は,Ch間で補正係数を持たせてInitializeするだけでOKではないか?と意見するのですが,先輩はDCでInitializeしようという意見を曲げません.最後には「そんなにDCでInitializeするプログラムを作るのが嫌?」と聞かれる始末...ここまでくると私も頭を抱えそうです.いいものを作ろうという気持ちは私にだってありますから,別に嫌じゃないんです.ただ,理屈がわからないもの(厳密でなくても感覚的にでも納得できないこと)に情熱を捧げることに気が乗らないというだけなんです.なにしろ,考えようによっては,入力に挿入されたATT(減衰器)が誤差原因だとも考えられるのですから.こうなっては,スペックを甘くするしか現状では逃げ道はありません.
 なお,自他ともに認める(?)ことですが,私は趣味を仕事にしたような人間ですので,仕事には持てる限りの情熱を捧げますし,自分の実力の80%でやるなんてことは絶対にしません.持てる力の100%以上の力を注ぎます.
 結局,ACでInitializeした後に,DC信号の測定精度をチェックするDiagnosis項目があったため,その結果を見て判断するということで納得してもらいました.でも,ここからが大変です.自分で,理解できていることでも他人に説明するのは大変だからです.
 ひとに言わせれば,「それは,自分がちゃんと理解できていないからだ」と言われるのですが...測定結果が何を意味しているかをわかりやすく説明しなくてはなりません.AがBとなるということは,すなわち,AはCであるということを理解させるのです.
 そんなこんなで,私は,学生時代に机に掲げていた文章を思い出すのでした.

論文を書くときに注意する事柄

1.対象となる読者はどのような予備知識を持っているのか良く考えよ.
2.序論,結論に重点を置きよく吟味せよ.
3.独創的な点はどこなのかを明確に示せ.
4.読者の気持ちになって,読みやすい文章を心がけよ.


研究発表の際に注意する事柄

1.表紙は,演題名を棒読みするのではなく,「何をしてどういう結果を得たか,そのことについてどう考えていてどのような意見がほしいのか」を明確せよ.
2.ポイントを理解してもらうための予備知識を1〜2分で伝えよ.
3.まとめは1〜2分で,再度,結果についてまとめ,これにより発表内容をより印象付けよ.


 これらの事項は,私が自発的に本を読み,自ら考えまとめた事柄です.こう言ったことは,専門書だけ読んでいては,纏まりません.とはいっても,現在の一般的な科学的方法論を打ち出した「デカルト」を熟読したわけでもありませんが...なお,間違ってほしくないのは,決して大学時代の指導教官に教わったことではない!ということです.これらのことを「研究ってどうやるの?」と思っていた若かりし私に諭してくれるような教官であれば,私は博士号を取るために研究室に残ったことでしょう.

 これは余談ですが.どうしようもない研究室にいたときに,こう言ったことを,老婆心で教えようとしていた私が,○○研究室の仲良し学生の一部に煙たがられたことは言うまでもありません.

...かわたのつぶやき


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