Sorry,Japanese only
Last Update 20020611

休日に考えたこと

 最近,休日は呑んだくれの日々を過ごしていた.からだに悪いことこの上ない.というわけで,先日の日曜は,家でゆっくり過ごしてみた.

 かわたは,ほとんどテレビ依存症で,部屋(寮の自室)に入るたびテレビをつけている.このテレビを消してみた.結構,違う気分が味わえるものである.ふと既視感がかわたを襲った.あぁ,懐かしい感じだ.そう,これはテレビの持ちこみが禁止されていた高専の寮生活以来の感覚だ.なかなかいいものである.そして,ちょっと思索に耽てみるのだった.


思索その1
 自分たち生物は互いに干渉を繰り返している.つまり,相互作用の上に成り立っている.もし,この相互作用が失われたら,きっと生物らしさが損なわれるような気がする.なぜなのか,うまい説明が思いつかないけど・・・.あぁ,ちょっと悔しい.
 でも,なんで相互作用が起こるんだろう? なんで,自分たち人間にしても,互いに情報をやり取りしあうのだろう?

 情報理論の教えるところによれば,そのシステムにとって有用な情報が得られると情報エントロピーが減少する.つまり,あいまいさが減るということだ.ちょっと熱力学のエントロピーが頭をよぎった.熱力学でいう,エネルギーとは仕事をする能力のことである.そして,エントロピーとは,仕事をしない能力をあらわすと言える.では,情報エントロピーが存在するなら,情報エネルギーみたいなものはないのかな? 素朴な疑問が浮かんだ.

 こんな疑問が浮かんだとき,普通の人なら(普段なら),そういった文献を調べてみることだろう.でも,せっかく楽しい休日を過ごしているんだ.ちょっと思索してみることにした.

 情報って何だろう? 情報を得るとはどういうことだろう? しばらく考えてみた.あるシステムにとって有用な情報は,何かを処理する能力を得ることに他ならないんじゃないだろうか? こんな考えがふと頭をよぎった.1という情報を得たとする.次に3という情報を得たとする.この情報だけでは,何も出来ない.しかし,ここで,その2つを足してごらん.という情報を得たとすると,答えは4だ.という処理をすることができる.なるほど,こう考えると,情報とは,なにかを処理できる能力を指し,情報エントロピーは,なにかを処理することのできない能力を指すといえるんじゃないだろうか?

 こう考えると,なんだか楽しくなってきた.さらに熱力学的な知見を適用すれば,自由エネルギーは,内部エネルギーUと,温度とエントロピーの積を減算したU-TSと表すことができる.また,物質や,システムはこの自由エネルギーの低い状態で安定となることが知られている.

 ここで,情報エントロピーについてもこれと同じ概念が成り立つとするとどうなるんだろうか? あるシステムが情報を得た結果.情報エントロピーが減少する.すると自由エネルギが上昇する.システムは安定性をもとめて,エントロピーを上昇させる方向に傾くか,内部エネルギーを減少させる方向に進むのじゃないだろうか? 内部エネルギーを減少させるためには,情報を他へ伝達する必要がある.つまり,ほかのシステムとの相互作用が生じるわけだ.エントロピーが上昇する場合は難しい問題だ.一度得た知識でエントロピーが減少したのだが,どう言った場合にこれが上昇するのだろう?

 あれ,何だか変だぞ? 熱力学第2法則が教えるのは,エントロピー増大則だったはずだ.これじゃあエントロピーは上昇しないことになる.
 いやいや,エントロピー増大則は,平衡系で成り立つ法則だったはずだ.非平衡系では気にしなくてもいい(ちょっと言いすぎだな).非平衡系はダイナミックな系なので,相互作用がおのずと繰り返されるものなんだから.うーむ.この世の中で,情報の流れは,振動しダイナミックに生じているんだなぁ・・・.休日のこんな思索から,改めて実感したかわたであった.



思索その2
 かわたのよく行くショットバーは,ブラックライトでお酒のイルミネーションが施されている.ここでジントニックを頼むと,ちょっとおしゃれだ.トニックウォーターがブラックライトに含まれる紫外線で光るからだ.なんで光るんだろう? きっとトニックウォーターの中の物質が紫外線で励起されているからなんだろう,ってことまでは想像がつく.でも,なんの物質なのかは想像がつかなかった.

 この現象をふと思い出して,googleで検索してみた.すると,ある掲示板の過去ログが引っかかった.そこには,トニックウォーターに含まれている苦味成分:キニーネが励起されているんじゃないか?というものだった.キニーネってなんだ?と思って生化学辞典を紐解いた(大学以来だ.この本を見るのは).すると,キニーネは「キナ」の樹皮から抽出したアルカロイドであることがわかった.アルカロイドは,植物塩基のことである.塩基っていうくらいだから,アルカリ性だ.中学生の頃に聞いたことがあるかも知れないけど,アルカリ性のものは苦い.でも,辞典で調べる限り,この物質はあまり安易に摂取すべきものではないような気がした.どうやら,マラリアの薬に使われることもあるらしいし,大体,アルカロイドっていうものは劇薬が多い.阿片から取り出したモルヒネもアルカロイドだが,当然,この物質は麻薬指定されている.

 そのとき,たまたま自己組織化に関する本(ブルーバックス)を読んでいたので,このキニーネという物質に見覚えがあることに気がついた.味覚センサに関して記述しているところでこの物質を見たような気がしたからだ.

 本をめくると,苦味を持つ物質として,キニーネ,L-トリプトファン,L-フェニルアラニンが書かれていた.トリプトファンとフェニルアラニンはアミノ酸の一種だ.当然,食べても問題ない.またまた,大学時代からめったなことでは開かないマクマリー有機化学を紐解いてみた.構造式が載っていた.おぉ?なんと,トリプトファンもフェニルアラニンもベンゼン環を持っている.ベンゼン環!なんか怪しいな.しばらく本をめくってみる.あった,あった.構造決定に関する章にベンゼン環を持つものは,紫外線を吸収することが書かれていた.どうやらπ電子軌道が関与しているらしい.バンドギャップエネルギーが紫外線のエネルギーと一致しているということだろう.

 謎は解けた! って感じだ.かわたのかすかな記憶ではあるが,何かのジュース(コーラだったかな?)にL-フェニルアラニンが入っていたような気がする.ってことは,ジュースでも無色に近ければ,ブラックライトの下で光ることが予想できるわけだ.
 でも,L-フェニルアラニンの吸収波長って257nm付近らしい.あれ? UVC(短波長紫外線:殺菌灯なんかに使われる)じゃないか?この波長.ブラックライトは基本的にUVA(長波長紫外線:生物活性は低いけど,しみ,ソバカスの原因にはなる.女性は要注意)のはずなんだよなぁ? まっ,もれているってことか,UVCが.って皮膚に悪いじゃん!

 こんなことを考えながら,休日を過ごしたのでした.

...かわたのつぶやき


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